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執筆者の写真harmonycollege

ポニーエクスプレスonline No.28

更新日:2021年10月22日

「体験の場に居る大人の役割」

こんにちは、キャンプ担当のタイタンです。すっかり過ごしやすい季節になりましたね。そんな牧場では、いろいろな年齢の子どもたちが今日も体験を続けています。



日々活動をしていると、「やっぱり、子どもは子ども同士で関わり合うのがとっても大切だなぁ」と思う瞬間があります。それを強く感じるのは、どちらかというと失敗した時に思うことがあります。僕がレクリエーションを頑張りすぎて、楽しませる時間が長くなって、子ども同士が関わる時間を奪ってしまった時などは、直後に一人脳内反省会が始まります。

そしてその時、「あれ?じゃあ大人の役割ってなんだろう?」という疑問がよく浮かんできます。そのたびに色々考えたり、本を読んでみたりしてある程度の結論を出すという事を繰り返してきました。

今回は今現在僕が考えている「体験の場に居る大人の役割」について共有させて頂ければと思います。


【体験の場に居る大人の役割】

今回はリスクマネージメントという大切な役割は殿堂入りということで省かせて頂き、以下の3つの役割について共有したいと思います。

① 子ども同士をつなぐ

② 遊びを発展させる

③ 安心できる港である


①子ども同士をつなぐ

これはキャンプの初日などに、僕がよくする振る舞いなのですが、少しおバカな事をして子どもたちに追いかけられるような状況を作ります。僕も30歳を越えて少し体力は落ちましたが、まだ小学生には負けません。本気で逃げ回ります。簡単には捕まらないので、子どもたちは仲間を集め、コミュニケーションを取り、作戦を立て始めます。最終的には「20人近い子どもたちから追いかけられる」なんて状況になることもあります。こうなると絶対に捕まります。本気で逃げるタイタンをみんなで力を合わせて捕まえられた!という一体感が生まれる瞬間です(笑)。

 「自分を介して、初対面や関係性の薄い子どもたちが繋がる」というのが大人の役割の一つだと思います。


②遊びを発展させる

 これは、遊びを発展させることが必要な時と無い時を見極めなければ、冒頭に述べた一人反省会が始まる案件なのですが、今回は必要な場合についてのみ共有します。

 僕が遊びを発展させようと思うシチュエーションは、その子がやる事が見つからなくて暇つぶし的に何かをしている時です。その子が発している空気感で読み取ります。

 まず、そんな子が居る時は、声をかけ何をしているのか聞きます。そしてやっている事、もしくはやりたいと言った事を一緒にやり始めます。この前は砂遊びでした。一人で静かに、ちょっと楽しくなさそうに砂遊びをしている子がいました。「僕も混ぜて」と言って一緒にやり始めました。しばらく他愛もない話をした後に、どうすれば「大人の自分がこの遊びを本気で楽しめるだろう?」と考えます。すぐに浮かんだのは「砂像を作る」でした。思い立ったら即行動、バケツやカップ、スコップや細い棒など、思い浮かぶものをどんどん集めます。ここでのポイントは、どれも二つ以上集めるという事です。「砂像を作る!これは楽しそう!」と思い立ち、せかせかと動き回り、どこか楽しそうにモノを集め出すと、子どもはこちらに興味を持ちます。その空気を感じた瞬間に、宣言します!


「タイタン!砂像作ります!」


それを聞いた子どもは、最初はきょとんとして「何を言っているのか、この大人は?」という顔をするのですが、めちゃくちゃ楽しそうに、自分の頭の中に思い描いている構想を語りながら、本気で砂遊びを始める僕の姿を見て、次第にその子は「僕はこうしたい!」という事を言い出します。それを聞いたら僕としてはミッション達成です。「めっちゃいいやん、それ!」と共感して、お互いの遊びに没頭します。その日一日遊んだら「また明日もやろう!」と誘われる事がほとんどです。

どんな遊びもアイデア次第でとっても楽しい物になります。それを仲間とあれこれ試行錯誤するのが、子ども時代にとっても必要な経験だと思っています。そのプロセスをまずは先輩である僕が背中で見せて、しばらく後にその子が遊びを創造できるようになれば何よりです。


③安心できる港である

最終的にはやはりこれに尽きると思います。「この人がいれば大丈夫かも」と。初めての人とコミュニケーションをとる。初めての場所に行く。初めての事をしてみる。こうやって自分で世界を切り開いていく力が子どもたちにも大人にも大切です。それができるかどうかは安心できる港を持っているかどうか。その港が一般社会では家庭であり、父母であり、家族だと思います。キャンプではそこにいる大人が港です。その大人に安心感があれば、子どもたちはどんどんチャレンジできます。そのチャレンジでちょっと失敗して傷ついたり、エネルギー切れした時は優しく受け止めてあげる。そしてまた自分のタイミングでチャレンジを始める。

 「子どもにとっての安心できる港である」という事が、自信と誇りを持ち、自ら育つ子どもを育てる、大人の役割だと思います。


 とっても長くなりましたが、読んで頂きありがとうございます。僕自身この理想の役割を目指して、脳内反省会を日々繰り返しながら精進していこうと思っています。次回の原稿もまた読んで頂けると幸いです。ありがとうございました。


阪本宜之(タイタン)

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